どんな君も、全部好きだから。
「どうして?」

「好きな子に『もっとしてほしい』とか言われたら、もうブレーキかけらんねぇじゃん」

「ブレーキかけてほしくない」

「・・・はぁ――・・・」


私の必死の訴えに困った顔を見せた賢斗くんは、右手で顔を覆いながら長めのため息をついた。

こんなに困らせてしまって、めんどくさいやつだって思われたらどうしよう。

ふいにそんな不安に駆られて鼓動が速くなってくる。

少し冷静になろうと賢斗くんにしがみついたままだった腕の力を緩めて離れようとした瞬間。

ぎゅっと抱きしめ返されて身動きができなくなった。


「じゃあ、優依がイヤじゃないなら、もうちょっとブレーキ緩めていい・・・?」


そう耳元で囁かれて、私の体温がカッと上昇する。

賢斗くんの心地良い声が脳内に響き渡ったような気がして、心臓が爆発しそうになった私はコクコクと頷くことしかできなかった。

そんな私と視線を合わせた賢斗くんは、



「・・・キスしたい」



と少し甘えるような声で言った。
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