どんな君も、全部好きだから。
心臓がドクンドクンと大きな音を立てていて、全身の感覚が賢斗くんだけに集中している。


もう他のことは何も考えられない。


賢斗くんが私の顎をすくってゆっくり上を向かせながら、腰をかがめて私に顔を近づける。

吸い込まれそうな綺麗な瞳と息遣いが間近に迫った瞬間、私はぎゅっと目を閉じた。


柔らかな感触が優しく唇に落とされるのを感じながら、抑えきれない胸の高鳴りに身体がどうにかなってしまいそうだった。



唇が離されたのを感じて目を開けると、私を見つめている賢斗くんの顔が目の前にあった。

恥ずかしすぎて今すぐにでも逃げ出したい気持ちだったけど、賢斗くんに再び抱き寄せられて離れられなくなる。


「はぁー・・・もうほんと好きすぎてヤバい・・・」


同じように顔を真っ赤にした賢斗くんが、私の額に自分の額をコツンと当ててそう呟く。

触れ合った箇所から賢斗くんの熱が伝わってきて、じわじわと全身が幸福感で満たされていくようだった。

この温もりが離れてしまわないようにするには、きっと私も頑張らないといけないんだ。
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