恋のGraduation
「ここに見学に来る親御さんたちさ、俺たちのこと、必ずと言ってもいいほど『お二人は夫婦別姓なんですか?お子さんは?』って聞くよなぁ」

彼の言葉に苦笑いしてしまう。

「まぁ…お互いに同じ東京の大学出て、地方で放課後等デイサービスの共同経営者やってたら、夫婦だと思われるのも無理はないよね」

そう言ったあと、私は、

「ねえ。シュンは…後悔してない?」

時折、ふと思う。

自分の進路変更に彼を巻き込んでしまったのではないか?

後悔させてはいないか?

そんな不安を感じ、思わず尋ねてしまう。

シュンは、昔と変わらない優しい瞳で私を見つめたあと、唇を奪いにかかる。

それが答えなのだと、よく判らせるかのように。
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