魔法のいらないシンデレラ 3
改めて、奥の和室でお茶を淹れてもらう。

「初めまして。清河さんに弟子入りさせて頂いた樋口です」
「同じく、沢田です。お目にかかれて光栄です」

二人の若い弟子は、一生達に頭を下げる。

一生は、二人に名刺を差し出した。

「初めまして。ホテル フォルトゥーナ東京 総支配人の神崎 一生と申します。妻の瑠璃と、娘のすみれです」
「初めまして」

瑠璃もにこやかに頭を下げたが、二人は戸惑った様子をみせる。

「あ、は、初めまして。あの…いつもこちらにお電話を頂く、企画広報課の早乙女さんという方を、師匠は瑠璃ちゃんと呼んでいらして…その…」

するとお茶を飲みながら清河が言う。

「そうやで、その瑠璃ちゃんや。総支配人の奥さんやで」
「えっ!そ、そうでしたか!それは失礼致しました」

慌てて頭を下げる二人に、瑠璃は、いえいえと首を振る。

「私もごく普通の社員の1人ですから、そんな…」
「瑠璃ちゃんを、単なる奥さんやと思ったら大間違いやで。バリバリ仕事しよるからな。アハハ」
「え、清河さんたら」

瑠璃と清河のやり取りを、弟子の二人は面食らったように聞いていた。
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