うそつきな唇に、キス
死ぬことへの恐怖という名の、あるべき理性も宿ることはなかったから、嫌という感情が湧き出てくることもない。
……ある種の感想だったら、あるかもしれないけれど。
「ですので、嫌と思うことはありませんので安心してください。わたしはいつ何時でも、若サマのそばにいられますよ!」
それに、いま離れたら、今まで積み上げてきたすべてが無駄になる。
また新しく積み直す時間も、おそらくない。
─────今回で、オワリへと繋げなきゃ。
「……そう、か、」
まさかそんなわたしの心のうちを読んだわけじゃないだろうけど、どこか複雑そうな顔をした若サマは、結局数度の瞬きで雑念を捨て、そう呟いた。
……これで、わたしへの質問は終わりかな、と思った、んだけ、ど。
「……なあ、える、一個聞いてもいいか?」
「え?あ、はい、なんですか、琴」
今まで沈黙していた琴がふと声を上げ、同時に満面の笑みをたたえた顔を見せた。
……そう。笑顔を浮かべながらも、なぜかその顔は、〝怒って〟いた。
「そいつら、今どこにいるかわかるか?」
「そ、そいつらとは……」
「えるのこと嫌いだとか思ってた奴ら」
「なんでそんなこと知りたいんですか……?」