うそつきな唇に、キス
「……では、一旦わたしの番はここでストップしましょうか。琴もしばらく殺意を抑える時間が必要でしょうし」
「俺だけが堪え性のない奴みたいに言うなよ……、」
琴が横目でさらりと睨んできたけれど、他ふたりの沈黙が意味ありげにわたしを見つめていたのもあって、全部無視したのち、若サマに微笑みかけた。
「若サマ、どうぞ」
冷え切った視線をないもののようにして続きを促すと、若サマはどこか不服げにほんのり眉を寄せたけれど、諦めるようにひとつため息をついて、言う。
「………では、えるの第二の性は、なんだ?」
ぽつりと漏れた、疑問とも、疑念ともとれる言葉。
世界のヒエラルキーにおいて、最もわかりやすい、謂わば才能の塊。
それが凡庸なのか、それとも異質なのか。
はっきりさせておきたいと思うのは、何もおかしいことではない。
「そのご様子だと、一度調べたんですか?」
「………、気を悪くしたなら、すまない、」
どこか気まずそうに三者三様目を逸らしていて、なんだか笑いそうになってしまった。
「いえ、別に気にしていませんよ。逆に、わかったことがあるならわたしにも教えてほしいくらいです」
疑われることなど承知の上。
……というか、それが大前提の関係なのだ。わたしと彼らは。
疑い、疑われ、偽り、偽られ、傲慢に、ある意味誠実に。
そして、丁寧に。
わたしたちは、拒みあっている。
「……わからなかった。血液検査から辿ってみたが、どれも外れた。……えるから採取した血液が少量だったことも起因するかもしれないが」
「血液が少量……、というと、……わたしが鼻血を出した時の血を使ったんですかね?」
「そうだ」