恋の仕方、忘れました
部屋に入るなり窓に近付こうとする私の腕を引き、早くも寝室に連れ込む彼に困惑した。


主任とこういうことをするのは、今日で三度目。それなのに、彼の妖艶な瞳にまだ慣れない。


でも私もそんな主任を拒むつもりなんて更々ないから、ベッドのスプリングがギシリと鳴ったと同時に、彼の首に手を回した。


主任って何に対してもドライな感じがするのに意外と熱っぽくて、何度も何度も角度を変えては落とされる唇に頭がクラクラする。


じっくりと堪能しているのか、それとも焦らしているのか。

未だ触れてもらえない私の身体は、徐々に熱を帯び、下の方が疼き出す。



「……主任、お願い」



痺れを切らした私は、唇が離れた瞬間を狙って吐息のような声を漏らすと、やっぱり焦らしていたらしい彼は悪戯っぽくわらった。





主任の声が、指が、熱が、私の身体を刺激する。

何度したって慣れない。
何度求めても足りない。

どんどん欲深くなる自分が、正直怖い。



自分がひとりの男に、こんなに夢中なるとは思わなかった。


そんな存在がこんなにすぐ近くにあることも、少し前の自分は知らなかった。



恋って意外と簡単で単純なものらしい。


それと同時に、脆く儚いものだということも、この人が教えてくれた。
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