恋の仕方、忘れました

ちなみに、近くに座らないのなら主任はいつも通り不参加にすればよかったのでは?という問いには“酔っ払ったお前が他の男に持ち帰られないように見張るため”という言葉が返ってきた。


これを聞く限り、私は全く信用されていないらしい。


確かに酔うと羽目を外す可能性は大かもしれないけれど、それは主任と付き合う前の話だし。

それに、少々のお酒では酔ったりしない。

今までだって接待や営業課の飲み会に何度も参加したけれど一度も潰れたことはないからだ。


私がやらかす時は、相手が安心出来る人の時。

それなのに、見張りのために参加して、結局女性陣に囲まれているなんて納得いかない。私のこのモヤモヤはどう処理すればいいんだ。



「成海、ほら飲め飲め」



無駄に距離を詰めて座る課長は、鼻の下を伸ばしながら話しかけてくる。

同じテーブルには他の社員もいるのに、視線は私から動かない。


はぁ、最悪。

主任と席が離れるのはまだ耐えられるとして、せめて課長とは声の届かない距離になってほしかった。

< 154 / 188 >

この作品をシェア

pagetop