恋の仕方、忘れました

「あっそ」



子供のように拗ねた主任は高級な腕時計を一瞥すると、事務所に戻るのか私の横をするりと抜けて会議室の出口へ向かう。


あ、怒らせたかも。と、私を置き去りにする主任の後ろ姿を見つめながら、ちくりと胸が痛むのを感じた。


けれど、ドアノブに手を掛けた主任が振り返ったことによって、再び視線が重なる。



「まぁ、話ならいつでも聞いてやるから、何かあったらすぐ言えよ」



それだけ残して、主任は先に部屋から出ていってしまった。





「……神かよ」



今のたった一言で、気まずくなるどころかまた少し距離が縮んだ気がして、主任の懐の深さにただただ感動した。







朝からぶちくそかっこよ過ぎて、始業時刻ギリギリまでその場から動けなかった。

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