恋の仕方、忘れました

「お前、例のクズ男を忘れられないのは仕方ないかもしれないが仕事増やしすぎだろ。少し他のやつに回せ」


「え」



主任から話しかけられて舞い上がっていたのも束の間、彼のまさかの発言に、私のテンションは一気に下がった。

どうやら主任は私がまだ祐真さんを好きだと思っているらしい。

確かに今朝、主任からの質問に対して秘密と言って濁したのは私だ。
それに加え、私が今日もこうして残業してるから、祐真さんのことを忘れたくて仕事に打ち込んでいるのだと勘違いしているのだろう。

昨夜、連日の残業は祐真さんのことを考えないようにするためだと主任に話したし、今朝本当のことを言わなかった自分が悪い。

だけど、主任の口からはっきり言われると、結構きつい。


それに、それにだ。
仕事を他に回せってことは、私じゃ頼りないってことなのだろうか。

確かに最近ぼーっとしてることはあるかもしれない。でもそれなりに仕事とプライベートは分けてるつもりだったから、何だかショックだった。



「……心配して頂いてありがとうございます。でも大丈夫ですから」


「いや無理すんなよ。お前の仕事量最近えぐいだろ」


「そんなことありません」


「うそつけ。今日も木下の客何件かお前にいったろ。成海が言えないなら俺から…」


「大丈夫ったら大丈夫です!」



食い下がる主任にぴしゃりと言うと、彼は口を噤いで眉をひそめた。


木下さんというのは私のひとつ年下の女性社員のことで、もうすぐ産休に入るからと昼間に彼女の担当する会社をみんなで振り分けた。

自分だって何件か引き継いだくせに、なんで私にだけそんなこと…。

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