恋の仕方、忘れました
「主任でも陰でハゲとか言うんですね」


「あれはどう見てもハゲてる」


「いや、そういうことを言ってるんじゃなくて…まぁ確かにおでこの毛が散らかってたりしますけど」


「別にお前の前でしか言わないし、こんくらい大丈夫だろ」



うっ…。お前の前でしか言わないなんて、不意打ちで、まるで彼女に言うような台詞をそんな簡単に言わないでほしい。
嬉しい…嬉しいけど、お願いだからこれ以上私を夢中にさせないで。


主任のことが直視出来なくて、丁度運ばれてきた熱燗をお猪口に注ぎながら悶えていると、主任は呑気に「つかれー」と言いながらノンアルのビールをぐびぐび飲み始める。

私も続いて飲もうとすると、不意に聞こえてきた「次からはちゃんと断れよ」の声に、お猪口を持つ手が止まった。



「お前危なっかしいんだよ。すぐ流されるし」


「……」



それはもしかして、祐真さんとのことや、こないだの主任とのことを言ってる?

確かに流されやすいのは自分でもよく分かってる。主任が心配になる気持ちも分かるけど、やっぱり主任の目には私はただの尻軽に映ってるんじゃないかと思うと悲しかった。

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