恋の仕方、忘れました
「でも、何で私が課長に誘われてるって分かったんですか?」
「俺がすぐ傍まで来てるのに気付かないお前らがおかしいんだろ。あの付箋、俺の角度から丸見えだったぞ」
「…じゃあ、たまたまだったんですね」
わざわざ助けに来てくれたのかもしれないと少し期待してたけど、どうやらそうではないらしい。
主任は本当に課長に用があって、そこでたまたま付箋を目にしただけ。
どちらにしても助けてくれたことに違いないから、主任には感謝なのだけれど、やっぱり少しへこむ。
「まぁ、課長の邪魔してやろうと思ってあのタイミングで行ったってのもあるけどな」
かと思えば、最後に付け加えられた一言で、私のテンションは一気に上がった。
「…それって嫉妬ですか?」
「だからお前は処女な」
「もうそれ禁句です」
二言目には処女を口にする主任に「頭にきたので今日も熱燗頂きます」とメニューを突き返すと、ふはっと声を出しながら笑った彼はそのまま店員を呼んで飲み物を注文してくれた。
そんな笑顔を見せられたら怒りなんかすぐおさまるし、それどころかさり気なく注文までしてくれる目の前の男は今日も全てが完璧だった。