恋の仕方、忘れました
「えーとさ、確認なんだけど、その主任?には何て言われてフラれたの?」


「なんて……とは?」


「例えば、お前とは付き合えないとか、他に大事なやつがいるとか、なんかそういうの」


「…………言われたっけ?」


「…それ本当にフラれたの?」


「…………あれ?」



酔った頭でさっきの電話を思い出すけど、果たしてそんな台詞があっただろうかと頭を抱える。

基本的に私が一方的に喋っていたからか、驚くほど主任の台詞が記憶にない。



「いやでも、主任には彼女がいるはずなのでフラれたも同然で」


「その人が自分の口でちゃんと彼女いるって言ったことあんの?」


「…………あれれ?」



確かに……ない気がする。するけど…



「でも同棲してる彼女がいるっていう噂は何度か聞いたことがあるし、彼女らしき人と電話しているところを二度も目撃してるし、それにあんないい男に彼女がいない方がおかしいし」


「……その電話ってのも、本当に彼女なの?」


「多分……」


「多分かよ」



はあーとこれまでにない程大きな溜息を吐いたイノケンさんは、煙草を灰皿に押し付けて、残りのカップ酒を一気飲みした。

< 82 / 188 >

この作品をシェア

pagetop