恋の仕方、忘れました
「いいから早く行きなよ」
「…一応確認なんですけど、本当にしなくていいんですか?わざわざホテルまで来たのに、なんか申し訳なくて」
「なら、一発ヤっとく?」
「やっぱ無理です」
「ほんと失礼だな」
イノケンさんは、もう何本目か分からない、短くなった煙草を灰皿に押し付けると、ベッドにごろんと横たわり、今度はしっしと手を振って私をここから早く追い出そうとしてくる。
「君、なんか思ってたのと違ったわ。もっとクールでかっこいい女だと思ってた。非常に残念」
「残念って言わないで」
「だから早く出てってよ。これから派遣型マッサージ呼ぶから」
そう言うと、すぐそばにあったスマホでマッサージ店の電話番号を探し出すイノケンさん。
自分が本当に邪魔なのだと気付き、急いでベッドから降りると荷物を掻き集めた。
ちらりとスマホを確認すると、イノケンさんの言う通り大量の着信履歴。
どれも同じ人からのもので、顔が青ざめていくのが分かった。
「イノケンさん、ありがとう!」
彼は片方の耳にスマホを当てながら手を振る。
私も小さく手を振ってぺこりとお辞儀をすると、急いでホテルを出た。