先生の愛が激重すぎる件
一年生の冬に編入してきた日菜はまるで黒髪のビスクドールのようにかわいらしい子だった。クラス委員をしていた私は先生から日菜のサポート役を頼まれた。
帰る方向も同じで、校内以外でも一緒にいる時間が多く、すぐに仲良くなれた。
聞くと両親が離婚して母親の実家のあるこの町に引っ越してきたそうだ。どことなく憂いがあるのはそのせいかと思いながら、頼ってくる日菜をまるで妹のようにかわいがった。

もともと長女気質の私は日菜の世話を焼くのも苦痛に感じなかったし、一日でも早く学校に馴染んで欲しくて一生懸命だった。だから、クラスメイトが私のことを“オカン”と揶揄するのもまったく気にしていなかった。

それから二年生になりクラス替えで日菜と別のクラスになった。

彼女のことは若干心配ではあったけれど、私以外の友達を作るいいきっかけになるだろうと思っていた。

けれど、日菜は休み時間の度に私のクラスへとやってきた。

『ねえ日菜。ほかにも友達作ったら?』

『それどういう意味? 日菜のことが嫌になったの?』

『そうじゃないよ。ただ、私以外の子とも仲良くしたらいいのにって思っただけ』

 日菜にそう言いながらもこれは私自身の思いなのだと気付いた。

日菜はLINEの返信が少しでも遅れると悲しむ。私は必死で返信をしたけれど、家では弟の世話をしなければならないし宿題もある。

それにクラスにはもうすでに受験を視野に入れて勉強している子がたくさんいて、休み時間や放課後は受験勉強や進路のことを話したり相談したりしたいと思っていた。

でも、休み時間も放課後も全部日菜に占領されてしまっていつの間にか彼女のことを疎ましく思う瞬間があると気付いてしまった。
 
『日菜は明日美がいればいいの。明日美も日菜がいればいいでしょ?』

『…………。どうだろう』

『なにそれ、最低!』

 日菜はかわいい顔を歪めてそういうと教室を走って出て行ってしまった。

私は追いかけなかった。どこかホッとしていた。嫌われて安心するなんて最低だと思ったけれど、こんな私の友達でいる必要なんてないと思うことにした。

けれど、その日の夜。日菜から長文で謝罪するLINEが届いた。許してもらえなかったら死ぬとまで書いてあった。

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