君と過ごした世界は、どうしようもなく暖かい
「ねえー冷、これどういうこと?」
と話しかけてきたのは佳奈だった。

これは予想外だ。チカと一緒にいる時は佳奈自身が自らくることもあったが一人で私の元にくるのは初めてだ。

これは一体どういことだろうか。

そんなことを考えている間もなく、それ以上に私はそこで見せられた写真に目を疑った。

それは、私が昨日私が帰っている時の後ろ姿で、私と暖がそこには写っていた。

そんな、一体いつ、誰が…?
けれど思い当たるのはチカしか思い浮かばなかった。

だってチカは、私と同じ方向で、そして佳奈とも特に仲のいい友達だ。

でも、チカがわざわざそんなことをするだろうか。
今までも自らの手を使って私に手を出すようなことはしてこなかった。

私は辺りを見回してチカを探す。けれどどこにも見つからない。

「おい、なにキョロキョロしてんの?」と佳奈にしかめっ面で言われてしまい私は何もできなくなってしまった。

「あんたさ、調子のってんの?暖くんが転校してきてから皆で話したの。抜け駆けとかはやめようねって」

まぁ、あんたと違ってチカだったら許されてたけどねと釘をさされる。

そんなの知らない、私は女子の輪にはいれていないしそんなこと初めて知った。
それに抜け駆けとはなんだ、別に暖は誰のものでもないしそれは暖が決めることだ。

けれどそんな言葉を私が言えるわけはなくて。

「別に…そんなつもりじゃない」とその一言しか言えなかった。

けどその言葉は佳奈をもっと怒らせてしまったのか、顔がみるみるうちに真っ赤になっていく。

こ、こわ…元々眉がつり上がっていてくっきりした瞳、前髪は上にまとめている佳奈はキツめの
印象をしているのだ。

そんな印象の佳奈は怒ると余計にオーラが強くなり私は圧倒される。

「チカの好きな人奪ったあげくあんた暖くんまで奪うのかよ!!とんだ男好きだね、いっつも女子には冷たいくせにすましてんじゃねーよ」

次々と罵倒の言葉を浴びせられ唖然としてしまう。

もちろん私が悪いとこも沢山あった。
チカには辛い思いをさせてしまっただろうしチカには何を言われても仕方ないと思ってる。

でもここまで言わなくたっていいじゃないか。
それになんで佳奈にこんなに言われないといけないんだ。
< 37 / 156 >

この作品をシェア

pagetop