君と過ごした世界は、どうしようもなく暖かい
でも私はその言葉一つ一つがズキズキと心に突き刺さって何も言い返すことはできなかった。

だって実際本当のことだったから。

私はチカの好きな人を知らないうちに奪っていた、私は冷たい、ひどいそんな人間。

佳奈の言うとおりなのかもしれない。

暖といてはいけないと思っても私の意志は弱くて、簡単にくだけてしまう。

彼に惹かれてしまう。
暖と一緒にいると楽しくて時間を忘れてしまう。

そのくせ友達は作れない。
「…ははっ……」
自分のばかさにかすかな笑いがこぼれる。

「…何笑ってんだよきも」と遠くで声が聞こえたような気がしたけれどそんな言葉すらも私の耳には届いていなかった。

自分が無性に虚しくなって、変われたと思っていた自分がおかしくて。

朝の予鈴のチャイムがなる。
いつのまにか佳奈は目の前からいなくなっていて、私はうつむきがちに自分の席に戻った。

周りは私を心配そうな目で見る人もいれば、やばくない?とヒソヒソと小声で話す人もいた。

いつもは起こらないことが起こると皆それに注目する。良いことでも悪いことでも関係なく。

自分に関係のないことならただ面白がってネタにする。そしていつのまにか忘れる。

言われた本人は一生忘れられないまま。

私は昔言われた言葉を思い出す。
「冷ってさなんか…冷たいよね。人のことばかにしてるんでしょ」
「うちらのこと嫌いなら話しかけないでいいよ」

そんなつもりはなかった。
感情表現が苦手だった、思ってることを言うのが難しかった。

けどそんなの言い訳になんてならない。

そんな私とも友達になってくれたチカにだって、そう思われたんだから。

きっと私が悪い。全部。

___そうだ全部私が悪いんだ。
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