サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)

来週に手術予定の入院患者の容体が悪化し、一日も早く手術する事になったと。
主治医なのだから自身が執刀すればいいものを、わざわざ休日中の私へ連絡を寄こすあたり、常識の度を越えている。

そもそも、学会だって部長が出席する事になってたのを無理やり交替させられたのだから。

最近目が疲れるだの、体調が思わしくないだの、なんだかんだと理由を付けて手術を回避している。

恐らく急な視力低下か、指先の感覚が衰えたのか。
外科医にとって、手術を行えないのは『死』に値する。

難病患者だとなおさら。
部長は手柄だけを横取りするような性格で、葛城先輩ですら何年も我慢しているらしい。
先輩が我慢しているのに、私がどうこう出来るわけない。

「あぁぁぁぁ~~~ッ、もうぉぉぉ~っっ!」

布団の中で発狂して、やり場のない感情を爆発させた。


容体が急変したわけではない。
あくまでも前倒しで手術する意向だという案件。
今日の今日、今すぐにというわけでないのだから、今日くらいゆっくり休ませて欲しい。
せっかくの休みなのに、じっくり彼の顔すら見てないのだから。

ベッドから這い出てキッチンへと行き、浄水器の蛇口を捻る。
喉がカラカラで軽い脱水症状に陥ってる。

オペに気を取られ、まともに食事もしてないし、水分補給すら後回しにしたツケが今頃現れた。

冷蔵庫を開け、食べれそうなものを漁る。
彼のために作るならまだしも、自分が食べるために作る気力は無い。

ハムとプロセスチーズとバナナを取り出し、そのまま口に運ぶ。

結婚を目前に控え、薔薇色の時間を過ごしてもおかしくないのに。
シルクのネグリジェ姿の自分が滑稽に思えた。

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