サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)
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重い体を捻り、寝返りを打とうとして、段々と意識がはっきりとして来る。
朝方に帰宅して、郁さんに抱き締めて貰ったはず……なんだけど。
今の私の体、何の拘束も受けてない。
ゆっくりと瞼を開けて、意気消沈。
大好きな彼の腕の中で目を覚ませると思っていたのに。
サイドテーブルの上の時計に視線をやると、十時五十分。
彼は既に勤務中の時間だ。
仕方ない、分かっている。
早朝四時半に帰宅した私。
六時に起床する彼。
帰宅後にシャワーを浴びて、ベッドに潜り込んだのは朝方五時過ぎ。
疲労困憊の体で就寝して、一時間で起きれるわけがない。
彼が起きた気配すら気付かぬくらい、疲れて寝入っていたのだから。
布団の中で手先を彷徨わせる。
彼のぬくもりがあるわけないのに、せずにはいられなかった。
「郁さん……」
いないと分かっているのに、寂しくて声が漏れ出した。
学会で海外に行かなくたって、緊急オペに呼び出されることなんてしょっちゅうで。
それでなくても夜勤、研修、会議があり、不規則な勤務体制なのは否めない。
郁さんだって、国際線のフライトがあったり急な出張も多いから、ゆっくり顔を合わすことも難しい。
だからこそ、昨日今日みたいに休日の時くらい、ゆっくりと彼と過ごしたいのに……。
サイドテーブルの上に置かれたスマホが点滅している事に気付き、嫌な予感がした。
脱力した手でスマホを取り、メールを開く。
「………最悪」
胸部外科の部長から、手術交替の依頼メールが届いていた。