サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)

『ASJのイケメン御曹司と美人アナウンサー、挙式は来春?!』
『趣味の旅行が高じて、出会いは必然…?』
『国民のお嫁さんのお相手は、ハイスぺ男子』など

見れば見るほど納得させられてしまう。
財閥とも言える家柄の彼の相手には、彼女のような誰もが認めるような好条件の人がお似合いなのだと。

分かり切っていたのに。
こういうことも想定して覚悟していたのに。

やっぱり、現実を突きつけられると心が折れそうになる。
今は身も心も病んでいて、ガラスが砕け散るみたいな気持ちになるのだと言い聞かせてみるが、正直なところ余裕はない。

連絡を絶っている私を彼は心配してるだろうか?
仕事が忙しくて、気にも留めていないようにも思う。

元々連絡がマメな人ではない。
愛情は注いでくれるけれど、基本クールな性格だ。
あっさりというより、冷え冷えとしたと言った方がしっくりくるくらい、ドライなところがある。

だからこそ、テリトリーに入れている間はいいけれど、一歩蚊帳の外に出されてしまえば手に負えない。
またあの時みたいな冷たい眼差しで突き放されたらと思うと、恐怖でしかない。

ダメだ。
考えすぎて頭が痛い。
眩暈もするし、気持ち悪くなる。

ベッドに横になってるだけなのに、くらくらする。
体は冷えてるように感じるのに、変な汗が出て来る。

薬の副作用かな。
額に当ててる手が軽く震えてる気がする。

「彩葉ちゃん、スープくらいなら飲めそう?」
「……はい」
「スープがダメなら野菜ジュースとかカットフルーツとか、何でもいいから平気そうなもの教えてね?」
「……すみません、お手数お掛けして」
「だから~、そういう気を遣うのは止めようって!私の方が年下なんだし、潤くんの大事な相棒なんだし、私にとっても大事な友達だよっ」
「……ありがと」

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