サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)
溢れる涙を拭っていると、パソコンのモニターに映し出されたのは、機内から窓の外を映した映像だ。
会場内に流れていた優しいピアノのメロディーが突如消え、代わりにジェットエンジンの音が会場内に響き渡る。
ゴーッという音と共に、雲の上を飛行している夜の上空の映像。
誰かが映るでもなく、暫くエンジン音が会場内に響き渡っていた、その時。
『ご搭乗のお客様に操縦室からご案内申し上げます……』と機内アナウンスが流れた。
会場内が一瞬でざわつき始めた。
それがテレビの画面から伝わって来る。
エンジン音に掻き消されそうなそのアナウンスに耳を傾けていると。
『本日も私共ASJ羽田発香港行きをご利用下さいまして、誠に有難うございます。現在巡航高度28000ft、上空12000mにて全て順調に飛行中です。皆様の香港国際空港への到着ですが、順調に参りますと、着陸で二十時七分。ターミナルの三十番ゲートへはほぼ定刻の二十時十五分の到着を予定しております』
「ッ?!!………っ」
これって……。
思わず声が漏れ出しそうになるのを口元を押さえて必死に堪えた。
だって、あの時と同じように、今にも嗚咽が漏れ出しそうで……。
『人生で一度は見てみたいと言われる百万ドルの夜景が眼下に広がる予定です。本日は天気にも恵まれ、空気も澄んでいるので香港の夜景もはっきりと見えることと思います』
落ち着きのある声音でゆっくりと丁寧に言葉を紡ぐ機長。
この声に聞き覚えがある。
だって……。
やっぱりそうだ。