サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)
尚も止まらないキスの波。
一方的に降らせるようなキスの雨でなく。
軽く甘噛みして啄んだと思えば、蹂躙するかのように執拗に口内を蠢いて。
緩急の付けどころが絶妙で。
決して初心者ではない私が、成すがままに翻弄される。
なぞるように唇を舐めらると、ゆっくりと唇が離され、甘い刺激が急に途絶えた。
「出勤、何時?」
「ふぇっ?」
「休みじゃないだろ」
「……八時なのを……十三時に変更して貰いました」
「フッ。……じゃあ、少しは楽しめそうだな」
「っっっ~~ッ」
彼の言わんとすることが分かるだけに恥ずかしくて顔が上げていられない。
両手で顔を覆い隠すと、ふわっと浮遊感に襲われる。
彼が再び運んでくれているようだ。
……今度は、寝室に。
十月中旬。
ほんの少し冷たい空気を纏う部屋。
肌に触れるシーツの冷感。
少しずつせり上がって来る彼の温かい指先。
紅潮する頬の熱。
それらを超える熱を帯びた彼とのキス。
待ち焦がれた彼のぬくもりは、思ってた以上に潜熱を含んでいて。
ペースダウンして貰おうと彼の胸へと手を忍ばせようとすれば、いとも簡単に彼の手によって阻まれた。
絡め取られる指先。
逃げようとすることすら容易く読まれて、シーツに張り付けられる。
頬に添えられた手が、ツーっと首筋へと降下してゆく。
その指先は、少し前に付けたばかりのボタンへと到着し、次々とそれらが外されてゆく。
スッと肌を撫でる空気。
けれど、それ以上に彼の指先の行方が気になって……。
指先が肩先から背中へと滑り込ませるようにパジャマが腕から絡め取られ、腹部から降下した指先が、ショートパンツのウエスト部分を容赦なく押し下げる。