サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)
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九時半にセットしたアラームで目覚めると、久しぶりの拘束感に胸がトクンと弾む。
だって、彼の腕の中で目覚めることが出来たのだから。
「起きたか?」
「っ……はいっ」
郁さんは既に起きていたようだ。
優しく髪が撫でられ、額にキスが落とされる。
そんな余韻を満喫していた、その時。
ありえないモノを視界に捉えた。
えっ……。
まさか、これって……。
「かっ……おる…さん」
「ん?」
優しい声音でなおも髪を撫でる彼。
そんな彼を仰ぎ見て、息を呑む。
「これって………犯人、私ですか……?」
「他に誰がいる」
「っっっ~~っ!!!」
ぎゃぁぁぁぁッ!!
どうしよぉぉぉ~~っ!!
寝ぼけててキスマークを付けてしまったらしい。
しかも、場所がかなり微妙。
「ごめんなさいっ」
「いいよ、別に」
「でもっ……」
本部長という立場上、キスマークが付いてたら威厳が保てないのに……。
「スカーフ巻いたら隠れますかね?」
「だから、気にしなくていいって」
「でも……」
ポンポンと優しく頭を撫でて気遣ってくれる彼。
だけど、これでは取り返しがつかない。
「久しぶりに堪能したから、おあいこってことで」
「っ……」
「痛む所はないか?」
「え?」
彼に言われて体を少し動かしてみる。
……あ、相当ヤバい。
あちこちから悲鳴が上がる。
「あちこち……筋肉痛みたいですっ」
「だよな」
「っ……」
昨夜というか、今朝と言っていいのか。
断片的な記憶が脳裏を過る。
恥ずかし過ぎる。
あんなこともしてしまっただなんて……。
彼が着せてくれたルームウェア。
だけど、着た記憶が無い上に、脱がされた記憶しかないのだから……。
「何、妄想してんの?」
「っっっ……郁さん、意地悪っ」
「フッ、彩葉限定でな」