サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)

「彩葉、……助かった」
「んっん~ッ」

オペを終え、医局に戻って来た医師二人。
彩葉は凝り固まる体を伸ばし、ソファーに倒れ込んだ。

「変な声、出すな」
「疲れてるんだから、余計なこと言わないで下さい」

昨夜二十時に執刀を開始した緊急オペが二時間ほどで終わった直後、交通事故に遭った三十代男性のVF(心室細動)によるICD(埋め込み型除細動器)の装着手術を行った。
手術中に心停止にも陥り、状態が安定せず、術後も暫く様子を診るなどして……。

気付けば午前四時過ぎ。
麻酔の切れた患者のバイタルを確認し、漸く今一息ついた所。

「帰らなくていいのか?」
「……帰りますよ」

葛城先輩は当直だからあと数時間は病院に拘束されるけれど。
私は本来、休日の予定だった。
国際学会から帰国し、二日間の休日を与えられ、恋人と甘~い夜を過ごす予定だったのに。

体が重くて立ち上がれない。
体力のある男性との大きな差が浮き彫りになる。

「送ってやれなくて、ごめんな」
「いいですよ、別に」

隣りに座る先輩が、ポンと頭を一撫で。
これが郁さんだったら、どんなに嬉しいか……。

トゥルルルッ、トゥルルルッ。

「先輩、呼ばれてますよ」
「……分かってるよ」

内線を知らせる着信音が室内に響く。
葛城はフッと息を吐きながら立ち上がって、受話器を取った。

「さて、……帰るとするか」

スクラブから私服に着替える為に更衣室へと向かう。

こんな中途半端な時間だと、電車もないし、バスもない。
自宅まで歩いて帰る体力もない。
深夜料金割増しでもタクシーを使って帰らないと……。

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