サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)
先輩は世間一般論を口にする。
理解しているつもりだったけど、結局は自分を優先してしまったことで彼を傷つけた。
「終わりにしたくないなら、無様であろうが、足掻けよ」
「……っ」
「俺から言わせりゃ、お前らの恋愛、淡泊すぎんだろ」
「そっ、そうですかね?」
「お前は甘えたがらないし、縋り付いたりもしない。相手も強要して来ないし、束縛も微々たるもんだろ」
「……そう言われれば、そうなのかも……」
「俺なんて、高校生のガキ相手に毎日嫉妬して、職場まで迎えに行ったこともあるし」
「えっ?!」
「今だから言えるけどさ、産婦人科医の男性医師に診察されるのも正直嫌だったし」
「……それは、分かります」
「そういう小さな嫉妬もさ、恋愛においてはいいスパイスになるしさ」
「……はい」
「両想いだからこそ、譲れないものもあんだろ」
「……そうですね」
「その気持ちは結婚しても、殆ど変わらない」
「………」
「人生の断捨離をされる前に、自力で掴め」
「っ……」
「この先の人生も一緒にいたいなら」
「……はいっ」
先輩の飾り気のない言葉に涙が滲む。
分かりきっていたのに、やっぱりこうして背中を押して貰わないと踏ん切りがつかなかった。
ポンポンと頭が軽く叩かれ、医局へと踵を返した先輩。
ドアノブを捻った、その時。
「それと、時間が経てば経つほど修復できる確率が減るから、リセットする気がないなら、直ぐに行動に移せよ」
「はいっ!」
「御礼はBランチな」
「フフッ、はいっ」
先輩は片手を上げて、立ち去った。
善は急げだ。
私は白衣のポケットからスマホを取り出した。