サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)
話を聞くと、恋人の女性は別の病院の外科医らしく、彼より五歳も年上なのだとか。
告白自体も十回近く断わられ続けたらしく、交際がスタートするまでに二年もかかったらしい。
俺ら同様、すれ違い生活も余儀なくされ、五歳差というのと病院の跡取りということが足枷になって、プロポーズに勇気が出なかったらしい。
同じ女性外科医として、彩葉に相談し、協力を仰いだという。
「それなら、最初からそう言ってくれればよかったのに」
「ごめんなさいっ、ついついお互いに忙しくて、後回しにしてしまって」
彼女の言葉に、安堵する俺がいる。
だって、『運命』というものがあるなら、絶対彼女だと思っていたから。
こんなにも簡単に、俺よりも別の男に掻っ攫われてしまうのかと、正直敗北感で打ちのめされていた。
「例え、練習であったとしても、郁さんを無視するような振る舞いをしてしまってごめんなさいっ」
「……もう、いいよ」
「許してくれますか?」
「許すも何も、別に奴に惹かれたとかじゃないんだろ?」
「もちろんっ!!」
「俺が、白紙にしようと言ったら、どうするつもりだった?」
「謝り倒して、……なりふり構わず縋り付くつもりでしたけど……」
「へぇ~」
「だって……」
「だって、何?」
ソファーの背凭れに手をついて、彼女との間を詰める。
これくらいじゃ、全然足りないんだけど。
「そんな簡単に……郁さんのことっ………諦めきれないですからっ」
目尻に涙を浮かべ、俺を真っすぐと見つめる彩葉。
膝の上でぎゅっと手を握りしめ、口が真一文字に閉ざされている。
そんな彼女に容赦なく顔を寄せる。
今にも唇が触れそうな距離。
だけど、そう簡単にはキスしてやらない。
俺からキスされると思ったのか、彼女は頬を赤らめてぎゅっと瞼を閉じた。
その顔ですら色気があって堪らないんだけど。
それでも感情をセーブする。