サイコな機長の偏愛生活

ベビードールとショーツの上にバスローブを羽織っただけの恰好。
ホテルのスイートルームで過ごすような雰囲気を醸し出す彼。

彼はタオルドライしただけのまだ水気を含んだ髪をかき上げ、軽々と私を抱き上げた。

バスローブ越しに伝わる体温。
大事そうに抱えてくれる腕の力強さ。
そして、時折視線を向けてくれる色気のある瞳。

この後の出来事が安易に想像出来てしまい、無意識に顔が火照りだす。

まだ二十時にもなってない時間帯。
久しぶりなのもあるけれど、こんな時間帯からお姫様抱っこで運ばれるだなんて。

今朝ベッドメイクした寝室のベッド。
熱めの湯船に浸かって温められた肌に少しひんやりとしたシーツの感触が心地いい。

程よく充満するアロマの香りと加湿器のブルーライト。
ダウンライトの間接照明を遮るように彼の影が降って来る。

額にそっと触れる柔らかい感触。
親指が眉毛を優しくなぞり、頬に添えられる手が熱い。

「彩葉」

久しぶりに降り注ぐ彼の声は、たった三音なのに愛おしさが伝わって来る。
少し低めの優しい声音と色気を帯びた視線。
それと、彼の口から漏れ出す熱い吐息。

普段なら絶対ありえないようなことなのに、今は勝手に体が動く。
『後悔』だけはしたくない、そう何度も心に刻んだから。

覆い被さるようにしている彼のバスローブの紐を無言で解く。
普段なら頼まれても恥ずかしくて指先が震えるのに……。

再び視界に現れた鍛えられた素肌にトクトクと胸が慌ただしく脈を打つ。

首筋に落とされた彼の唇はゆっくりと降下して、スッとバスローブの紐が解かれた。

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