サイコな機長の偏愛生活

エアコンは付いているものの、部屋の空気はまだ少しひんやりとしていて。
その空気がはだけた部分に触れる。

胸元にあるのは、透け感満載のベビードールのシルク地の布一枚だけ。
ショーツとベビードールのセットで、最初からブラは無い。

勿論、こんな攻めるような下着を自分で買ったわけじゃない。
知らぬうちに彼が買ったようで、いつの間にかチェストの中にあった。

肌の上を彷徨う彼の指先を感じていると、膝が大きく開かされた。
それだけでも軽く眩暈を覚える行為なのに、彼はその先を更に求めて来る。

けれどそれら全てが、今という瞬間も、これからの未来も『財前 郁』という人物によって紡がれると思うと、完全に冷え切っていた心の奥底から、熱く身を焦がすように掻き立てられて。

お腹の芯からせり上がるように襲い掛かって来る甘いシグナル。
脳天へと突き抜けるような激しい刺激。
それらは、何度となく突き上げられては落とされるような感覚で……。
酸素を吸うことすら容赦なく阻まれる執拗なキスに、無意識に彼の首に腕を絡ませていた。


全身が敏感になり過ぎて、ほんの僅かに触れても刺激が強すぎると感じるほど、全てが彼を求めている。

―――
――

――
―――
――


「……んっ……ッ…」

ベッドに張り付けられていた体が漸く解放された。

今までで一番激しかったように思う。
既に体のあちこちから悲鳴に似た疲労感が出ている。

「ちょっとだけ、休憩タイム」
「ッ?!!!」

彼はバスローブだけ羽織って、部屋を出て行った。

『ちょっとだけ、休憩タイム』って、何??
えっ、……もしかして、続きがあるってこと??

完全に思考機能が停止した。

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