恋の魔法なんて必要ない!~厭世家な魔術師と国外逃亡した私の恋模様~
少し薄暗い廊下もやはり、お世辞にも綺麗とは言い難い。
まずは掃除からだな、と一人で頷きながら廊下を歩いていると、一つだけピカピカに磨かれたすりガラスの窓のついた群青色の扉が目に留まった。
他のドアは木製で茶色なのに、そこだけ異彩を放っていた。
扉の上には、青の塗料がところどころ剥げた木のプレートには《書室》と金文字で彫られていた。
ほう、と息をつき、恐る恐る扉を開ける。
そこは、まさに、“海” だった。