日ごと、君におちて行く。日ごと、あなたに染められる。


「こんな風にわいわい集まるのかな。なんだか、楽しみでもある」

私と耕一さんの子ども――。

そんな存在、想像しただけで、クラクラする。

「耕一さんのDNAは絶対に後世に残さなければなりませんね。日本国の損失になります!」
「相変わらず、飛躍するね……」

頭上で苦笑しているのが分かる。

「私は真面目に言ってるんです。今まで二人の暮らしのことで精一杯で考えたこともなかったけど、いつかは……でも、私のような人間が母親になれるでしょうか」

ついさっきは”DNAを残さなければ”なんて思ったけれど、途端に不安になる。こんな欠陥人間が子育てなんてしていいのだろうか。

「大丈夫だよ。親だって最初は初心者だろ。子供と共に成長するくらいでいいんじゃないの?」
「……そう、ですね」

温かい胸に頬を寄せる。この人がいるから、大丈夫かな。なんて楽観的に考えてみる。

「こんな話してたら、子どもが欲しくなって来た。……って、結局、我慢しなくちゃいけないって結論になってる」
「本当ですね」

二人で笑い合う。

「――家に帰ったら、子作りしようか」
「これから、そうやって誘われるのでしょうか……」

ストレート過ぎる文言に、私一人が照れまくる。

「嫌……?」
「いやなわけ、ありません。むしろ、大歓迎です。私、やっぱり会いたいです。耕一さんにそっくりな男の子。イケメン二人に囲まれて、私、最高ですね」
「君みたいな女の子もいい。僕の予想を遥かに超えることをするんだろうな。想像しただけで、笑いが込み上げる。華と子どもと、二人で妄想ばかりしていたりして」

クスクスと笑う耕一さんを、腕の中から睨み上げる。

「そんな女の子には育てません。私みたいに偏った人間ではなく、真っ当で誰からも愛される可愛い女の子にしますからっ」
「僕は、君みたいに真っ直ぐな子だったらいいよ。君に似たら、可愛いに決まってる。男だろが女だろうがどっちでもいいんだ」

そう言うと、より強く私を抱きしめた。

「二人でこれから、家族になっていこう」
「はい」

私も耕一さんの背中に手を回す。

「この先の人生、よろしくな」
「私も、よろしくお願いします」

桐谷さんに恋をして。
桐谷さんに失恋して。
桐谷さんとの恋を成就させて。
桐谷さんと結婚した。

そして、耕一さんと家族になって、より深く耕一さんを愛している。

「あなたを、愛しています」

これからも少しずつ変わって行く。
耕一さんと一緒に変わって行ける――。



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