⑥姫は成瀬くんに守られたい✩.*˚

第7話 脅迫されて

「ねぇ、沙良ちゃん、誰を騎士にするか決めた?」

 成瀬くんに騎士になってほしいとお願いをして数日がたった日の休み時間、根本くんに質問された。

「私は……」

 廊下に出ようとしていた成瀬くんをちらっと見る。

「やっぱり成瀬?」
「……」
「あの事件の日から成瀬のことチラチラ見て、気になってるの? でも成瀬は辞めた方がいいよ」
「えっ?」
 
 根本くんはスマホで私にある動画を見せてきた。

「なんで成瀬くんがこんなことを!?」

 私は根本くんに小声で訊いた。

 今見た動画は、成瀬くんが根本くんを背負い投げしている動画。周りには見たことがある風景。

「これって、もしかして、事件の日?」
「そう、あの時の。沙良ちゃん、目閉じて見てなかったしょ?」

 事件の話題、なんとなく避けてたけど訊いてみようかな?

「うん……あの、違ったらごめんね。もしかして事件って、根本くんも加害者側に関わってる?」

 あの事件。成瀬くんの発言やあのタイミング……。私はずっともやもやしていたことを直接根本くんに訊いてみた。

「正解!」

 彼はニヤッとしながら言った。

 私は本当にあの時怖かった。
 彼はなんでそんなことしたの? 

 私の心を見透かしたように彼は続けて言った。

「だって、誘拐されて沙良ちゃんを助ければ、俺を騎士に選んでくれるかな?って」

 怖い思いさせられたのに軽々しいその言葉。そしてあの事件の時を思い出して、心が痛い。
 

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