【コミカライズ】そんなことも分からないの?
「そう気負う必要はない。俺はありのままの君が好きだ! 心から誇りに思っている! どこに出しても恥ずかしくない、自慢の妻だ」

「そうはいってもリオネル様、相手が王太子殿下だと思うと、やはり身構えてしまいます。それに、殿下の妻は私の姉でございますし……」


 そんなふうに考えるにつれ、気持ちが重くなっていく。リオネルはイネスの頭を優しく撫でながら「大丈夫だ」と繰り返した。



 数年ぶりに訪れる王宮は、以前と変わらず美しく壮麗だった。
 はじめてここに来た時、イザベルが城の歴史についてあれこれ語っていたことを思い出す。自分なりに事前に勉強をし、知識をつけたつもりだったが、それでもイザベルにとっては不十分だったらしい。


『まあ、イネスったら、そんなことも知らないのね!』


 こんな場所に来ても、馬鹿にされてしまう――――幼いイネスは不甲斐なさを覚えつつ、シュンと肩を落としたものだ。


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