鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
 そう言って彼はオデットを左の太腿に腰掛けさせて、胸元の宝石の埋め込まれた部分に顔を寄せて舐め始めた。ちろりと熱い舌が這う毎に、敏感に反応してしまうことが無性に恥ずかしい。

「やっ……キース。くすぐったい……」

 まるで美しい首飾りのように、複雑な配置で置かれた宝石をひとつひとつ舐め上げて彼は満足そうな表情をした。

「オデットの身につけるものは、俺が全部用意したい。なんとか取れるように、方法を調べてみよう」

「……無理、しないでください。キースが守ってくれるなら。別に……このままでも」

 支障はないだろうと彼の紫の目を見つめると、キースは不満そうな顔になった。

「嫌だ。俺以外の奴が君を飾った宝石など、要らない……という、男の勝手な独占欲だ。黙って……」

 そうして、キースはオデットにキスをした。先ほどの失敗を踏まえてか、深いキスの後息が整うのを待ってを何度か繰り返した。やがて、キスをしたままでも呼吸することを覚えてきたオデットと長い長い時間をかけてキスを交わした。

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