鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
 何回めかも忘れてしまったキスの後、キースは少し複雑そうな表情をして、とろんとした目をしているオデットを見つめつつ言った。

「んー……俺はキスも好きなんだが、このままではキスだけで夜が明けてしまうな」

 体重を感じさせない軽い動作でオデットを抱き上げてベッドへ寝かせ、彼は服を脱いだ。

 オデットはその身体を見て、こくんと喉を鳴らした。背中の傷のために自分で白い包帯を巻いてあることすら計算されているような芸術品のような肉体美と、これまでは庇護者の顔をしていた彼が完全に男としての性を感じさせる表情だったからだ。

「……嫌か? 今なら、止められる。俺は割と、我慢強い方だ。自分の部屋の隣に好みの女の子が生活していると言うのに、彼女が落ち着くまではと自分の欲望を抑え切れるくらいには」

 初めての男性の半裸に目を見開き見つめていたオデットに、キースは微笑んだ。

「我慢……してたんですか?」

 不思議そうに尋ねると、服を脱ぎつつ彼は言った。

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