鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
「そうだ。女の子を感じさせる前に、自分だけ果ててしまうと男にとっては不名誉だとされているんだ。まあ……でも、好きだからこそ、気持ち良くて高まるんだな……俺も、それは初めて知ったわ」

 そう言っていた彼を見つめて、完全に油断して力を抜いていたオデットは一気に最奥まで貫かれてグッと息を殺した。指の届かない奥は慣らされていない。狭い隘路を無理矢理押し開くようにして、それは奥の奥まで達していた。

「びっ……びっくりっ……したっ……」

 抗議するように、間近に来たキースの顔を見つめると先ほどの液体のおかげか、それほどまでにはオデットに痛みがないと判断したのかゆっくりと動き始めた。

「あー……うん。悪い。びっくりさせた。これからは、もう何も考えるなよ。ただ、感じていろ」

 結果的に言うと、キースは情けないことにはならなかった。オデットが甘い声を止められなくなるまで動いた彼は、やがて最奥で熱を放ちぎゅうっと強く目の前にあった身体を抱き締めた。

 荒い息も落ち着いて、ゆっくりと瞑っていた瞼を開けるとそこには宝石を思わせるような紫色の瞳があった。

「……怪我を、治して良いですか?」

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