鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない

16 役に立ちたい

 オデットの持つ月の女神の加護は、「処女でなければ消えてしまうのではないか」と密かに言われていた。だからこそ、そう言った意味で彼女の所有権を持つ権力者から何もされることもなく無事だったとも言える。

 だが、実際はそうではなかった。

 キースと愛し合った夜が明けても、月光を浴びれば使うことの出来る月魔法は消えていない。

 生まれながらに神の加護を持つ人間だって、世界中のどこを探しても極少数なのだ。何の根拠もない言い伝えがこうして信じられていたのも、無理はないことだった。

 キースは能力を失えなかった現状でも、強い力を持つ自分を頼りただ守られていれば良いと言った。だが、何もせず守られるという立場はオデットは嫌だった。

 彼の持つ直系ではないというのに王族であらねばならないという、とても複雑な事情や、それ故に保たなければならない自分へ向けられる名声や裏切れない国民達の信頼。

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