鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
「月の女神に会って、文句が言いたいです。何で、私なのって。何で愛したのって。この能力を持たなければ、私は庶民で普通の生活を送っていたからで……」

 そこまで言って、オデットは気がついてしまった。

(そうか。もし月魔法が使えずに、庶民のままなら……キースには……会えないんだ)

 複雑な面持ちで彼を見上げたオデットの胸の内を知ってか知らずか、キースは大きな手で手を握った。

「俺は、月の女神がオデットを愛した理由が理解出来る。まあ、それは世界中で俺一人だけが知っていれば良いんだが」

「え。何ですか。教えてください」

「言わない」

 結局、オデットが何回聞いたとしても、その理由が何かをキースが教えてくれることはなかった。

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