鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない

20 心通わせる理由

 オデットの能力の詳細はヴェリエフェンディの上層部と彼女が属することになる竜騎士団にのみ、周知されることになった。

 戦闘が主な仕事でこの国のために日々戦っている彼らは、大きな怪我を負ったとしても、あっという間に治療してしまうことの出来るオデットを歓迎していた。万が一情報が漏れれば危険なので城に来る事が出来なくなるとキースが言ったので、秘密を破ることはないだろう。

 オデットは月魔法を使うことの出来る日には必ず怪我人が最終的に運ばれる治療院に赴き、出来るだけ重症の患者から順に治療していくことを日課にするようになっていた。

 今日も大事な仕事を終えたオデットは鼻歌を歌いつつご機嫌な様子で、城の中にあるキースの執務室からほど近くに用意してもらった部屋で、この国を知るための勉強に勤しんでいた。

 歯に衣着せず頼りになるアイザックに、これからキースに相応しいようになっていきたいからどうすれば良いかと相談すれば、この国と貴族などの力関係を学ぶことを勧めてくれたのだ。

(やってみたら勉強、楽しい。やりたいことやれるって、本当に幸せ)

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