鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
「私……ずっと、幼い頃から、何もした事がないんです。基本的な教育しか、受けていなくて。だから、常識がわからなくて……何か変なことをしたらごめんなさい」

 オデットは稀有な能力で取り合いになり幼い頃からずっと、ガヴェアの権力者の保護下に居た。だが、必要とされているのはその能力だけだ。誰も、オデットが賢くなることを望みはしなかった。

 彼女自身も、自分がどれだけ世間知らずかは理解している。何か言う度に見張りの男たちに「こんなことも知らないのか」と揶揄われるだけだったから。

「君は謝罪も礼も言えるし、何かを学ぶ向上心もあるなら。それを、誰かに恥だと思う必要はない。だから、俺にもそうして謝る必要はない。勝手に決めたが、とりあえずの君の居場所は俺の家だ。これまではお姫様だったかも知れないが、俺の家に居るからには自分の役目は果たして貰おう」

「っはい」

 元気良く返事をしたオデットに、キースは苦笑した。

「おいおい。これは、喜ぶところなのか……? 普通の女の子は、君は何もしなくて良いとお姫様扱いされるのを喜ぶみたいだけどな」

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