鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない

06 出来心

 オデットは、自分で料理をした事がない。

 幼い頃から囚われてそうする必要が全くなかったし、そうしてみたいと訴えても彼女の所有者となる権力者たちは美しい白い肌に万が一でも傷がつくことを嫌った。

 自分がやりたい事何もかもを否定され、お前など人ではなく不思議な能力を持つ見栄えの良い人形だと、そういつも揶揄されていた。

 けれど、これからの日々は違うのだ。キースは「やりたいことがあればやれば良い」と、特に行動を制限することもなかった。

< 41 / 272 >

この作品をシェア

pagetop