鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
「あー……あれは、ガーディナー商会だ。この前の……あの、俺の部下のブレンダンの実家だな。有名な商家で、裕福な商人や貴族の女性相手に服飾品なんかを主に販売しているらしいが……」

「あの人、あんな顔をしているのに、こんなにも大きな商会の息子さんなんですね……何だか、絶対にモテますよね」

 彼は絶対にモテると感心したように頷いたオデットに、キースは複雑な表情を見せた。

「あいつは……そうだな。ブレンダンは一時遊んでいた時期はあったようだが、今は真面目で若手でも特に優秀な奴だ。この前アイザックも言っていた通りに、口も上手くて機転も利く。あれだけの、大きな商会の息子で……オデット、何か食べたいものでもあるか?」

 神妙な顔をして頷きつつ彼の話を聞いていたオデットは、いきなり話が変わって驚いた表情になった。

「……えっ。あの、そうですね……私お昼食べたばかりなので、特には」

「そうか。何か他にオデットの気に入りそうなお店があるかな……」

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