鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
顔を歪ませたオデットに、キースは苦笑した。
「そんなに、悲しそうな顔をしないでくれ。俺の傷は、別にどうとでもなる。それに、俺たち竜騎士は戦闘が仕事だから。傷は勲章だ。本当に……気にしないで。さあ、着替えておいで」
キースはオデットを宥めるようにして髪を軽く叩くと、二階の奥にある自分の部屋に入って行った。オデットも慌てて自分の部屋へと入り、扉を背中につけた。
(嘘……どうしよう。キース様はお礼を言ってくれたけど……血があんなに……)
オデットは、一夜に月の光を受けて月魔法を充填させることが出来る。その力を使って、たった一人だけを全快させることが出来るのだ。だと言うのに、大事な人を今は癒すことは出来ない。
窓の外は、曇りで空には月や星が見えない。さっき飛行船に乗っていた時なら、厚い雲の上に居た。窓からは、見事な雲海が見えていたはずだ。地上では、空は真っ暗で星ひとつ見えない。
(どうしよう……どうしよう……明日も、天気が悪いかもしれない。そうしたら、あの傷は……絶対に痛いはずなのに)
そこまで考えて、オデットはある事に思い至った。
「そんなに、悲しそうな顔をしないでくれ。俺の傷は、別にどうとでもなる。それに、俺たち竜騎士は戦闘が仕事だから。傷は勲章だ。本当に……気にしないで。さあ、着替えておいで」
キースはオデットを宥めるようにして髪を軽く叩くと、二階の奥にある自分の部屋に入って行った。オデットも慌てて自分の部屋へと入り、扉を背中につけた。
(嘘……どうしよう。キース様はお礼を言ってくれたけど……血があんなに……)
オデットは、一夜に月の光を受けて月魔法を充填させることが出来る。その力を使って、たった一人だけを全快させることが出来るのだ。だと言うのに、大事な人を今は癒すことは出来ない。
窓の外は、曇りで空には月や星が見えない。さっき飛行船に乗っていた時なら、厚い雲の上に居た。窓からは、見事な雲海が見えていたはずだ。地上では、空は真っ暗で星ひとつ見えない。
(どうしよう……どうしよう……明日も、天気が悪いかもしれない。そうしたら、あの傷は……絶対に痛いはずなのに)
そこまで考えて、オデットはある事に思い至った。