だって、君は俺の妻だから~クールな御曹司は雇われ妻を生涯愛し抜く~
 母自身、女手ひとつで私を育てたのでその経験を生かして相談者の話を親身に聞いたり、施設にやってくる子どもたちにも積極的に声をかけて、家庭や学校での悩みに向き合ったりしている。

 そんな母を尊敬しているし、施設にやってくる子どもたちを見ても必要な活動だと感じる。つい子どもたちに幼い頃の自分を重ね、私もなにかと顔を出している。

 そういった説明をしていると、前菜が運ばれてきた。カリフラワーととうもろこしのムース、柚子とにんじんのラペ、冬野菜がたっぷり入ったパテ・ド・カンパーニュが綺麗に皿に並んでいる。

 ナイフとフォークではなく、勧められるままお箸でいただく。見た目も華やかで、自分では作れない味に舌鼓を打つ。

「美味しいです」

「それはよかった」

 思わず漏れた感想には返事があった。

「……どんな会社を経営されているんですか?」

 聞かれてばかりもなんなので、こちらからも質問を振ってみる。言ってから子どもじゃないんだから、と少し後悔した。あまりにもストレートすぎただろうか。

「海外向けの不動産開発、投資事業を行っている。一方で、今はどの国も脱炭素社会への動きが強まっているからな。開拓や開発に伴う環境への貢献も重視されている分、環境保護ビジネスにも力を入れているところなんだ 」

 しかし久弥さんは意外と真面目に回答してくれた。それが嬉しくて、内容は難しいけれどわずかに緊張が解ける。
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