だって、君は俺の妻だから～クールな御曹司は雇われ妻を生涯愛し抜く～

「瑠衣さん、せっかくだから和装も着たら？　白無垢と色打ち掛け！」

「そ、そんなにお色直しする時間ありませんよ！」

　光子さんが閃いた！という面持ちで提案してきたが、私は慌てて辞退を申し出る。しかし光子さんはどこ吹く風だ。

「なら前撮りで着たらいいじゃない。きっと似合うわ」

「久弥さんの和装も似合いそうねぇ」

　母がのほほんと同意し、ウエディングプランナーの目の色が変わる。予想以上に衣装選びに時間がかかったのは、言うまでもなかった。

　光子さんと母をそれぞれ送り届け、助手席の背もたれに体を預ける。そのタイミングで隣から声がかかった。

「ちゃんと瑠衣の好きなものを選べたか？」

「はい。どんなドレスにしたか楽しみにしていてくださいね」

　心配そうに尋ねる久弥さんに笑って答える。疲れはしたが言い知れない満足感に包まれていた。光子さんや母の笑顔がたくさん見られて嬉しくなる。