だって、君は俺の妻だから~クールな御曹司は雇われ妻を生涯愛し抜く~
 続けて光子さんの病院に向かう。遅い時間になってしまい申し訳ないと謝る私に、光子さんは気にしなくていいと笑顔で迎えてくれた。

 久弥さんと出かけたことを話すと、光子さんの機嫌はさらによくなる。プレゼントのバレッタも喜んですぐに髪につけてくれた。

 病室をあとにしてしばらく歩いたところで、久弥さんから声がかかる。

「祖母は瑠衣と話すのが楽しいみたいだな。髪留めもあんなに喜ぶとは思わなかったよ」

「気に入ってもらえてよかったです」

 孫が男ばかりというのもあるのかもしれないが、光子さんは本当の孫のように私にも寄り添ってくれる。

「でも、光子さんが私を気にかけてくださるのは、久弥さんの妻だからですよ」

 目を丸くする彼に、にこりと微笑んで続ける。

「光子さんにとって久弥さんが大事だから私も大切にしてくださるんです」

 私ひとりでお見舞いに行くときより、久弥さんも顔を出したときの方が光子さんの表情はずっと明るい。久弥さんを心配してあれこれ小言を言うのも、私が一緒だから言いやすいのもあるのだろう。

「私じゃなくても、久弥さんの選んだ人なら光子さんはきっと喜んでくれますよ」

 発言して気づく。久弥さんに結婚願望はなく、光子さんには時間がないから、彼は私を間に合わせの妻として選んだんだ。高いお金を払ってまで。

「私……久弥さんの妻としてちゃんと役割を果たせていますか?」

 光子さんに対する態度は、ほぼ素だけれど。もっと、なにかした方がいい?
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