まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~
「はぐれ狼になる二年前まで……僕はこの里で次期族長候補と呼ばれる存在だったんです。驕っているとは思われたくはないんですが、僕の能力はこの日本国内でもかなり希少で……小さな頃から、特別視されるのが、当たり前の生活を送ってきました」

「……あの、鏡と言われた能力ですね」

 確かに姿と共に能力まで移しとる能力なんて、そこら辺にごろごろ居たとしたら、本当に大変なことになりそうだ。

「帝王学、というものも必要あって受けました。僕の表情は動かないし、読みにくいと思われるかも知れませんが、小さな頃からそのように教育されたためです……次世代の深青の里の代表に近い人物になるとして、ずっとそう言われて育ってきていました。僕には一人同父の妹が居るんですが、その子も希少で変わった能力の持ち主で……最高の嫁として、人間の透子さんのように国内から幾らでも求婚者が舞い込む。そんな境遇の持ち主でした」

「……要するに、妹さんもすっごくモテたんですね」

 私は思わず、大きく息を吐いた。妹さんも理人さんのように美しい顔を持ち希少な能力を持っているのなら、それはすごく大変にモテるだろう。

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