まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~

014 新しい巣

 新しい巣と言われた場所に辿り着いて、私は間抜けに口を開いたまま、その大きな建物を見上げた。

「すごく大きい……ね?」

 唸るほどにお金を持っていそうな、お金持ちの豪邸と言っても差し支えのない大きな建物がそこにはあった。正面玄関にあたる大きな門構えも、庶民ではあり得ないほどに凄く立派だ。

「そう? 理人の昔の地位を知ったら、そんなに驚くことじゃないかも。理人は次の深青の里の族長候補だったし、この巣に住んでいた頃はある程度の権力は持ってたんじゃないかなー?」

 じゃらっと音をさせていくつかの複雑な金属製の鍵を試しながら、春くんはあっけらかんと言った。

「あの……なんで、私たち映画を観てたの? ここに来るんだったら、全員ですぐに来てたら良かったのに」

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