君とふたりで。
「てかうちらって会ってそんな経ってないじゃないですか」
“それで付き合うってなんなんですか?”
なんて、言えない。
「そーだけど。時間とか関係なくね?」
こう言われてしまえば何も言い返せない。
だけどあたしは、やっぱり納得出来なくて。
しばらくの間「付き合って」「付き合えません」の繰り返し。
どれくらいそうしていただろう。
何回繰り返しても、どっちも譲らない。
短気なあたしは苛立ちすら覚えるくらいで。
ついに折れた。
「…はい」
「──えっじゃあ…」
コクンと頷く。
「マジで!? やったぁ〜!!」
一紀さんはそれはもう嬉しそうに勢いよく立ち上がり、
「よろしくなっ」
あどけない笑顔を見せた。
あたしの手を引っ張って立たせると、ギュッと抱き締めた。
混乱するのもお構い無しって感じ。
…良い先輩だと思っていた人と付き合えたのに。
なんでだろう。
心の中はモヤモヤしていて…
すっきりしない気分だった。
本当に良かったの?