君とふたりで。
てっきりここから帰るのかと思っていたあたしは、立ち止まった彼に急いでついていった。
暗い道だったため、無駄に明るいコンビニは眩しかった。
アイスでも買おうかと思ったけど今は金欠なのでやめといた。
目の保養にお菓子を眺めていると「行くぞ」と声が掛かった。
結局何も買わずにコンビニを出る。
“ハルさん”は小さなビニール袋から何かを取り出して、ゴミ箱の近くにだらしなく座った。
それを差し出す。
「…え……」
「いらねぇ?」
それは、さっきあたしが見ていたアイスだった。
「なんで…」
「いらねーのかって」
「い、いります。ください!」
勢いよく言ったあたしに手渡されたアイス。
どーしよう。嬉しすぎる。
「ありがとうございます」
「溶けるから早く食え」
その言葉に急いで封を切る。
口に含んだ瞬間、苺の甘酸っぱさが広がった。
「おいしーです」
「ん」
「あの…食べないんですか? あ、この食べかけじゃなくて!」
「今はいらねぇな」