君とふたりで。



…やっぱ怖いな。


話しにくいとゆーか。
まぁあたしが言える立場じゃないけど。



口数が少ない“ハルさん”とあたしが仲良くお喋り、…なんてあるはずもなく。


ほとんどが沈黙だった。




それからバイクで走り、あっという間に家に着いた。




「今日は色々とありがとうございました」


「あぁ」


「じゃあ…気を付けてください。おやすみなさい」




“ハルさん”は来た道を戻っていった。



悪いことしちゃったな…。
家、遠い場所かもしれないのに。





──それから中に入ったあたしは、当然こっぴどく叱られた。



“ハルさん”がアイスをくれたのは、もしかしたらこのお詫びだったのかもしれない…と思った。



ベッドに入って目を閉じると、今日の出来事が浮かんできた。



香織や唯と遊んだこともそうだけど。
真っ先に、鮮明に思い出したのはあの人のこと。



まだ体温と甘い香りが残っているような気がして、また胸がキュッとなった。



やっぱり男の人に慣れてないからかな…。



この時はそのくらいに思ってた。



…この時は。










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